Manabu Suzuki recorded by Toshiya Tsunoda

最近のSkitiからのリリース作品について書いておこう。この作品は鈴木学氏のインスタレーションを録音した作品だ。 図のように超音波域の40khzを再生する装置がいくつかぶら下がっている。個々の周波数は僅かにずれているので、各々干渉しその差による低い周…

Loop Lineの本

ここ数年、私にとってループラインに出演する機会が多かった。また観にいったイベントでも刺激や学ぶことが多かった。そして生ループや閉店の件も含め、昨年はループラインという場所が私の意識の特に大きな印象になった1年だった。 ついに冊子ができた。な…

solo works: LivePerformance

Dec.27(mon) 2010 open19:30 start 20:00 Toshiya Tsunoda solo works: Live Peformance plus.... Manfred Werder composition Manfred Werder "stück 1998 seiten 624-626" CD 会場で特価発売 @Loop-Line, Sendagaya http://www.loop-line.jp/top.html 田舎…

荒川修作

荒川修作は昔から好きな作家の一人で、90年代初めまでは興味を持ち続けていた。 一時期表参道にあった東高現代美術館での荒川作品は良かった。 壁面に掲げられた大きなパネル画の前には斜めに傾いたパネルがあり、それに乗って壁のパネルを観る作品があった…

パレルモの国旗

ブリンキー・パレルモはコンセプチュアルな作家というよりは遥かにペインタリーな仕事をした。一見するとミニマル絵画に見えるかもしれない。しかしミニマルの動向にありがちな工業的な手段や機械的なパターンの規則性それ自身を主張させるような使い方は一切…

杉本拓 Musical Composition Series

ビートルズの赤盤・青盤の新規リマスタが発売されているが、キッドアイラックからはなんと杉本拓作曲シリーズの白盤・黒盤が発売された! 合計4枚の杉本作曲集。世知辛い世の中でのこのリリース、友情などという甘ったるい言葉を超えた作家と演奏会場の美し…

音盤を聴く会/レコードの日

11月3日(祝)15時〜16時30分まで 音盤を聴く会 主にコンセプチュアル・アーティストの音盤など。脱線あり。 解説・映像:角田俊也 Charge 500yen + 1ドリンク・オーダー ループライン 千駄ヶ谷http://www.loop-line.jp/top.html コンセプチュアル・アートと…

「激論! ど〜する!?ど〜なる!?ど〜したい!?実験音楽」

朝まで生LOOP 「激論! ど〜する!?ど〜なる!?ど〜したい!? 実験音楽」@Loop-Line この討論会のようなものの参加者、パネリストは以下の10名である。 司会:服部玲治(HOSE) 生西康典 今井和雄 宇波 拓 北里義之 杉本 拓 田口史人 角田俊也 野々村 禎彦 星 …

前衛的な音楽の初期衝動

時々、電子音楽や現代音楽などの実験的な音楽を一番最初に聴いたときの衝撃がどんなものだったか思い出してみようとすることがある。 過去の出来事は思い出す度に都合よく変形されてしまうものだ。今回も或る理由があっての、思考の整理のためである。 しか…

夏歩き

去年の晩夏に、昔からよく知った三浦半島をどこに行くでもなく、目的なしに歩いた。 それはまるで風景をシャッフルしたかのような意外な光景に出会う体験で、何ともいえない物凄いものがあった。そして何か、制作に関して重要なものが潜んでいるように思われ…

憂うべきこと

昔、訳の分からない作品を眼の前にすると、いつも自分はいつになったらこういうものが理解できるのだろうか、それともそんな才能が無いのではないかと思い憂鬱といらつきを感じたものだ。 そういう作品は何だか分からないが説得力があるもとで作られたようで…

Manfred Werder

Manfred Werder(以下MW)はEdition Wandelweiserに属すチューリッヒ在住のコンポーザーである。ピアノ奏者としてクセナキスあたりの現代音楽の演奏もするらしい。私のレーベルSkitiの第一弾CDの作家である。以下勢いでMWについて書いてみよう。MWと初めて…

吉田アミ TAMARU

フリーミュージックあるいは即興演奏による音楽は、演奏の形式を問う形として有効だった。当初は新たなジャンルを作ろうという意図はなかっただろうが、賛同者が増えると何でも一括りにされてしまう。 現在それは一般にジャンルに近い扱いを受け、演奏家もそ…

ひょうたんブーム

17歳頃のことである。私たち友人間でひょうたんブームがあった。 小泉文夫のNHKFMの放送やレジデンツなどのせいで、私は民族音楽に興味があった。キングレコードから出ていた小泉監修のシリーズの「タンザニアの音楽」にはひょうたんを共鳴体とした弦楽器…

タルコフスキーの思い出

私は映画があまり好きではない。 小学校の頃、地方都市では大抵映画は二本立てで上映されており、昼過ぎに入って映画館を出ると夕方になっておりガッカリした記憶が軽いトラウマになっているようだ。だから好きな映画しか観たいと思わない。映画が好きな人は…

幽霊のはなし

父がスナックをやってた頃の話である。 そのカウンターにいつも青い服を着た長い髪の女の幽霊がポツンと椅子に座っているらしかった。 というのは父はそれが見えない。 時々お客さんが驚いて教えてくれるそうだ。 そして互いに接点のないお客が、みな同じこ…

鈴木 學・オーバーホール

技術者は凄い。しっかりした基礎学習があるからだろう、論理の破綻した比喩を使ってもこちらの意図をしっかり受け止めてくれる。 今井和雄トリオの鈴木學もその筋の方だ。 それだけでなく、彼は紛れもない演奏家だ。今井トリオの「Blood」のDVDで団…

Premiata Forneria Marconi

大学時代、気の合う仲間とイタリアに旅行に行った。どうしても観たかった初期ルネサンス絵画。 アッシジやパドヴァでのジオット、ウフィツィでは修復後のピカピカのボッチチェルリのヴィーナス誕生、アレッツォでフランチェスカ、聖マルコ美術館でのフラ・ア…

風に撒く歌 串田孫一

「風に撒く歌」は鎌倉は小町通の古本店、木犀堂が1999年に500部作った、素晴らしい装丁の随筆集である。 店頭に特価1800円で置かれているのを見て衝撃を受けた。普段文学作品に縁遠い者なので、当然著者も知らない。一時の気の迷いかその衝動を疑いながら見…

余白

トマス・ネーゲル「どこでもないところからの眺め」をちんたらちんたらと読んでます。 「・・・これまでかかわりをもてなかった他の事物の存在や、われわれのような生物が必要な反応や概念を開発できなかったためにかかわりをもてない他の事物がまだまだ存在…

インスタレーション

2001年頃。或る展覧会で私はインスタレーションを発表した。 その作品は自分なりに日常空間起る現象を考えた結果として、その当時は気に入っていた。 しかし展示期間が終わる頃、ふと気づいて愕然としたことがあった。 それは近代美術館の展示案内に使われた…

90年代のマイナーな実験音響シーン

大した頭も無いのに立派な文章にしようと思っていたのか、なかなか書く気が失せていたが、このままでも何なので芸術関係で思いついたことを吐き出していこう。Twitterじゃ物足りない。 そんでもって後で修正すりゃいいか、ってな訳で… 私がグループの…

ポロックの画集を見て

最近書店にTaschenの日本語版の画集が出回っている。図版の印刷が鮮明であるだけでなく、画家や動向に関する記述内容も優秀で、一昔の国内で買える画集と比べたら雲泥の差がある。しかも安価だ。先日その中のジャクソン・ポロックの画集を見た。コンパクトな…

レビュー・宇波拓ライヴ@試聴室/黄金町

試聴室<その2>1st Anniversary 黄金町 Music & Arts Fes. Vol.1 第6夜 宇波拓 2009年9月11日(金) 書けば野暮かと思うが、敢えて書いてみよう。 この日は宇波のソロである。 第一部は最近の杉本拓との「天狗と狐」あたりから始まった影による演奏。演奏…

”Im Sefinental ” Stefan Thut . Manfred Werder

ヴァンデルヴァイザー・レコーズからでた2人の作品集。 スイスの谷間での野外録音である。手法からしたらフィールド・レコーディング作品ということになろうが、まぎれもない彼ら流の作曲作品である。ステファンのタイトルは「aussen raum」。2008年作。 楽…

把握しがたい何か

近所の住宅が解体された。住宅がすべて消え去った更地を見ると何とも虚しい感覚にもなるが、こんな狭いところにあの家があったのか、と感じる。よく知っている家の場合尚更である。これは素朴に思うと少し変である。住宅がなくなったのだから、逆に広いと感…

作品と展示

毎日、家の裏にある小川から一滴ずつ水をビンにためていく作家がいるという。親しくしている音楽家が欧州で実際にその方に逢ってきた。アトリエには10本くらい何の変哲もないビンが並ぶ。1年でちょうど一本たまるという。つまり10年分だ!この作品は罠だろう…

息を合わせる

肺や心臓を傷めるのは辛い。それは生命の危機に直結する。最近そういうことと少し関わりがあったので気づいたことがある。 私は時々何か人がしゃべってるだけの録音が聞きたくなる。 気に入ってるものは独のEdition BlockがディストリビュートしているArthur…

昔話

もう17年以上前の話である。大学時代の友人がやっていたメール・アートのようなものに誘われた。心理的な環境リサーチのようなものでNASA JAPANという名前の企画だった。思うところのある友人たちの間で行う閉じた制作。当時はカセットデンスケにマ…

色彩 光 構成

「最初のエスキース、地質学的な線を描いて私は自由になる。大地の尺度となる幾何学。優しい感動が私を捉える。この感動の根のほうから、活力、色彩が昇ってくる。一種の開放だ。魂や眼差しの輝き、表に現れた神秘、大地と太陽のあいだの、理想と現実のあい…