2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

他人摺り《赤陽》部分

版木一部を試した跡の残っている。画像左端真ん中より少し下、手前の建物の周り、道路部分に走る細い直線など。 乱雑な摺りである。 「小野」印拡大。 何故これを捺したのか。自分で摺ったものだからではないだろうか。他人の作品に自分の印を捺すだろうか?…

眞偽比較

眞《赤陽》 偽 彼方に夕日がありながら道路が不自然に光っている。《赤陽》は当初昼の景色として制作されていたようだ。しかし沈む夕日の光を見て急遽構変更したものと推定される。そのため画面下部の一部はコラージュになっている。 しかしこの他人摺りでは…

駒村吉重著「君は隅田川に消えたのか」

藤牧義夫の版画の代表作といえばやはり《赤陽》《月》だろう。鋭い三角刀の切れ味に圧倒される魅力がある。しかし穏やかな鉄橋などの風景版画をじっくり味わって欲しい。澄み渡った空、吸い込まれるような空気感。何も墨がついていない、余白のような部分が…

藤牧義夫 羽裏《龍》3月10日まで

2月6日から3月10日まで、かんらん舎にて藤牧義夫が龍を描いた羽織が展示されています。 義兄太田豊治の為に描いたものです。推定17歳の筆。(部分)他に数点の版画、そして貴重な版木も展示されています。 小冊子「藤牧義夫 眞偽-過去は死なない 過ぎ去りもし…

藤牧義夫は本当に「失踪」したのか?

一般に「失踪」という場合、自らの意志によって姿を消すことを意味する。 昭和10年9月2日の雨の夜、藤牧は忽然と姿を消した。 ここに同年9月15日に発行された「鯱(しゃち)」という冊子がある。 表紙には藤牧義夫の作品が使われている。紙面には他にも2枚藤…

【水沢勉 大谷芳久 小野忠重 藤牧義夫】

先日、かんらん舎で「『藤牧義夫 眞偽』-過去は死なない 過ぎ去りもしない」という小冊子を購入した。 そこには神奈川県立美術館館長水沢勉氏の信じられない言葉があった。 大谷氏の著作『藤牧義夫 眞偽』を「悪書」「悪魔の書」、学術書の体裁の「フェイク…

藤牧義夫 失踪の謎

小野忠重著『現代版画の技法』ダヴィッド社 昭和33年初版発行より抜粋『藤牧義夫(1909-25?)と知りあったのは新版画集団創立の年だった。銀座の図案社にかよう二十四歳の彼とほとんど同年輩のなかまが集まって、深夜まで画集(自費出版)のための作品のための作…