関心の壺 第2回 「録音について」

12月16日(日)  open16:30 start 19:00  
関心の壺 第2回 「録音について」 
出演: 柳川真法(Amephone) 宇波拓  角田俊也  
於 l-e 大崎 

録音についての話というと大体は技術の話になる。
AKGB&Wがどうした ProToolsでどうのこうの、こういう話も面白いのだろうけれど、自分にとってはその昔の生録の苦労話や友人から聞いたカセット録音の秘訣のほうがずっと面白い。
録音にはその対象との関係があるが、そこにもっと大きな脈絡があるのを皆忘れているかのようです。
世の中にはメカ好きな人間もいるので分からないこともないですが、技術以外のことで録音を語ることも可能です。



AMEPHONEの作品に初めて接したのは渋谷のパリペキンでした。あの店の「乾いた世界」というジャンルでミニCDを買いました。
しかし本当の邂逅はその15年後の「エスキス3/3」を購入してからかもしれません。
その録音はまるでモランディの絵のようです。
モランディの絵は一見乳白色の明度差の少ない白濁したように見えますが、描かれたモチーフがまとっている空気が見えた時に眼差しが見えない細部にまで引き込まれます。
そこにはデジタル・ハイファイでは決して為しえない音楽空間が定位しています。
彼の描く詩の世界と同じ奥行きがあるのです。




宇波 拓の録音哲学は一体どうなっているのでしょうか。
以前自作曲を収録の際、通常の録音とは逆に、演奏者をマイクに向けて各々十分な距離を取って垂直方向に配しました。
そして出来上がったCDのゲインは極端に低く抑え込まれていました。
そうかと思えばかえる目の録音などは録音空間がそのまま現出したかのような超リアルな録音も行います。
自身で可能なはずなのにわざわざフランスかEric La Casaを呼んで録音を委託したりと、まるで虚も実も同じ世界だと言わんばかりです。




この企画の発案者である角田俊也も細々と録音を続けてきました。これが何になるのかと思いつつフィールド録音を続け、溜まったDATから抜粋しCDをリリースしてきました。
録音していた当時はこれが何になるのか、と否定的な気持ちが強かったためか、楽観的な感覚には成りにくい。
昨今フィールドレコーディングはひとつの音楽ジャンルのような様相を呈してきたようです。しかしこれは自分にとっては難しい。
文字通りにみれば、場所の録音なのにそのフィールドにこだわっている作品が少ないようです。
逆に場所にこだわったからといって録音が正当化される訳でもない。
そこに何かが無ければ作品にはならないと思います。


そんな訳で、今回は気負いなく録音について話す会を行いたいと考えています。詳しい内容は追々決まっていくでしょう。
気に入った録音物をかける、自分の録音哲学を話すなどなど。
最後はお客さんを含めて座談会のようになる時間も持ちたいと思います。
録音について興味のある方は是非遊びに来てください。
壊と関係のない音盤のお土産も用意しておきます。
よろしくお願いします。(角田俊也)


l-e 東京都品川区豊町1-3-11 スノーベル豊町 B1 http://www.l-e-osaki.org/ 
tel : 050-3309-7742(電話は、ライブのある日の午後5時以降にお願いします) e-mail: